特集 在宅血液透析の勧め―円滑導入のためのノウハウ
10.医療経済の面から
舩越 哲
1
,
津久田 健太
2
1衆和会長崎腎病院
2衆和会長崎腎病院事務課
キーワード:
在宅血液透析
,
採算性
,
人件費
,
初期投資
Keyword:
在宅血液透析
,
採算性
,
人件費
,
初期投資
pp.1299-1303
発行日 2019年9月10日
Published Date 2019/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001051
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在宅血液透析(HHD)の普及が遅れている理由の一つに,多くの医療者が「HHD は利益が出ない」というイメージを抱いている可能性が推測されるが,実際は逆で,HHD の利益率は施設透析より高い.HHD の経済効果が理解されない背景には,① 診療報酬(収入)は公示されていても,支出は施設によって異なるため収支の計算が難しい,② 初期投資,つまり透析監視装置・RO 装置の購入と患者の初期トレーニングのための人件費の償却の考え方が複雑,という点がある.支出については,施設透析の場合人件費がほぼ半分を占め,これが永続的に発生するのに対し,HHD では支出に占める人件費率は1~2 割であり,この差でHHD の初期投資は2~3 年で回収できる計算となる.初期投資回収後の利益率は,HHD において施設透析よりはるかに高く,患者の健康維持のためだけでなく,HHD は収益面においても優れた医療といえる.
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