高齢者の透析導入を再考する
高齢者医療費の医療経済上の問題点
中元 秀友
1
1埼玉医科大学 総合診療内科
キーワード:
医療経済学
,
医療費
,
血液透析
,
在宅血液透析
,
腎不全-慢性
,
ターミナルケア
,
高齢者保健医療サービス
,
医療扶助
,
公的医療保険
Keyword:
Health Expenditures
,
Economics, Medical
,
Health Services for the Aged
,
Hemodialysis, Home
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Medical Assistance
,
Terminal Care
,
Not-For-Profit Insurance Plans
pp.93-101
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016137506
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日本は世界でもっとも急速に高齢化が進行している医療先進国であり,その未来は世界の医療の未来を示すものと考えられている.今後本邦における高齢者の増加,それに伴う医療費の増加は避けられない.税金を負担する生産年齢人口は1990年代をピークに減少に転じている.わが国の医療保険制度は,国民皆保険,現物給付制度,さらにフリーアクセスを特徴としている.そのために,すべての国民は少ない自己負担で優れた透析医療を受けることができる.その結果,わが国の透析患者の予後は世界でもっとも優れた成績を示している.このような優れた末期腎不全医療の状況を今後も維持していくために,われわれは未来の透析医療に関して医療費の面からも考える必要がある.高齢者透析では日常生活動作(ADL)の維持,そして満足度の高い医療の面から在宅透析である腹膜透析(PD)は一定の評価がなされている.また予防医療,在宅医療,さらに透析の中止と非導入などに関しても国民の間で議論すべき時期にきている.
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