OPINION
俯瞰的視点からのブレイクスルー
古市 賢吾
1
1金沢医科大学医学部腎臓内科学
pp.1119-1120
発行日 2019年8月10日
Published Date 2019/8/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001011
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平成が終わり,新たな令和の時代が始まりました.令和の始まりが,新緑の季節とも重なり,何か大きな希望を感じたのは,私だけではないと推測します.さて近年,腎疾患の概念のなかで,全体を統合して観察する視点から,新たな展開がいくつも広がっているように感じます.蛋白尿の有無や推算GFR を基準に診断する慢性腎臓病(CKD)は,腎臓と心臓だけでなく,全身の各臓器との連関による多くの新たな展開を示してきました.また,急性腎障害(AKI)も,血清クレアチニンや尿量で規定される指標により診断することで,一見回復するように見えた軽微な障害も,長期の腎予後だけでなく,生命予後にも関連するなどの事実が示されてきました.いずれも,原疾患や詳細な機序などにとらわれない,俯瞰的な視野を取り入れることにより,新たな展開が進んでいるものと思われます.現在,糖尿病に関する腎障害に関しても,糖尿病性腎臓病という概念が取り入れられ,俯瞰的な視野から疾患をとらえ,解析が行われようとしています.
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