特別記事
ブレイクスルー展開記[1]
吉田 浩二
1
1北海道深川保健所
pp.885-889
発行日 1995年11月10日
Published Date 1995/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901251
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1994年の本誌増刊号でブレイクスルー思考を紹介して以来,周辺が慌ただしくなってきた。それだけ多くの人たちが,現在の保健活動に行き詰まりを感じているということなのだろうか。「地域保健活動とブレイクスルー思考」というテーマの研修会にも何回か招かれ,保健婦をはじめとする地域保健従事者にこの話をした。反応は大きく2つに分かれるようだ。話を聞いただけで迷いが吹っ切れたように明るい表情をしている人,何を言っているのかわからないと狐につままれたような顔をしている人。しかし前者の中にもしばらくしてから,「話を聞いた時には霧が晴れたかのように感じたのだが,実際に活動を展開しようとすると見えていたはずのものがまた見えなくなってしまった」と訴えてくる人も少なくない。また,理論だけではなく実際の活動の例を紹介して欲しいという声も多い。
そこで今回は私がブレイクスルー思考を唱え始めてから,実際に活動の中にブレイクスルー的な発想を取り入れることにより,どのような展開があったかを紹介させていただく。ただし,すべてがうまくいっているわけではない。むしろ試行錯誤の連続で,失敗の繰り返しと言ってもいい。また現在進行形のものばかりで,系統的に述べることも難しい。そこで私の周辺に起こった出来事を思い浮かぶままに,散文的に書き綴ることをお赦しいただきたい。
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.