特集 保健活動とブレイクスルー—問題の原因探しからどうありたいかへ
ブレイクスルー思考とは
日比野 省三
1
1中京大学社会学部
pp.343-349
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901139
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行き詰まる現代思考
現代は,「壁ぶち当たり時代」といわれている。ソ連を中心とした社会主義が崩壊したと同時に,アメリカを中心とした自由主義経済も,大きな壁にぶち当たっている。個人主義,民主主義など,近代合理主義のさまざまな局面でわれわれ人類は,立ち往生している。アインシュタインは,次のように述べている……「われわれ人類が直面している重大な問題は,それが出てきた思考のレベルで解くことができない。思考のレベルを変えるべきだ。人類がいま成さなければならないことは,新しい思考を発見することである」。
アインシュタインが指摘しているように,「現代人類がかかえている問題は,従来の思考のレベルで解決できない」という認識が,1990年代に入り,世界的に拡がりはじめている。社会主義,民主主義,自由主義,個人主義という近代合理主義のイデオロギーの問題はもとより,地域開発や保健活動のような実生活に密着した問題も,従来の思考のレベルでは解決できなくなりつつある。
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