特集 既存のガイドラインを透析患者にどう活用するか
10.肝炎
菊地 勘
1
1豊済会下落合クリニック
キーワード:
B 型肝炎
,
C 型肝炎
,
HB ワクチン
,
DAA
Keyword:
B 型肝炎
,
C 型肝炎
,
HB ワクチン
,
DAA
pp.1059-1066
発行日 2019年7月10日
Published Date 2019/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000991
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HBV は一度感染してしまうと臨床的な緩解状態(既往感染)となり,血中にHBV が検出されなくなった場合でも,長期間にわたり肝細胞内に残存している.そして,患者の免疫が低下する病態あるいは治療により再活性化(HBV DNA陽転化)する.したがって,HBV の感染対策はHB ワクチンを接種して,感染そのものを予防することが重要である.また,HBV は環境表面で長期間生存することから,HBV 感染透析患者は個室隔離またはベッド固定を行い,水平感染を予防することが重要である.ゲノタイプ1 のHCV は,2014 年にインターフェロン(IFN)を使用しない,内服のみで治療可能なDAA が発売されて,大きな副作用なくHCV 排除を目指せるようになった.そして,2017 年末にはゲノタイプ2 の患者でも使用可能なDAA が発売されて,すべてのHCV 感染透析患者の治療が可能となった.現在のガイドラインで推奨しているDAA の効果はほぼ100 %と非常に高く,大きな副作用がないことから,すべてのHCV 感染透析患者に積極的な治療が推奨される.
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