特集 既存のガイドラインを透析患者にどう活用するか
9.糖尿病
阿部 雅紀
1
1日本大学腎臓高血圧内分泌内科
キーワード:
糖尿病性腎症
,
血液透析
,
随時血糖値
,
低血糖
,
GA
,
HbA1c
Keyword:
糖尿病性腎症
,
血液透析
,
随時血糖値
,
低血糖
,
GA
,
HbA1c
pp.1051-1057
発行日 2019年7月10日
Published Date 2019/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000990
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
一般の糖尿病患者に対する治療ガイドには,日本糖尿病学会が公表している「糖尿病治療ガイド2018―2019」,保存期の糖尿病性腎症患者に対しては日本腎臓学会が公表している「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2018」がある.透析患者,とくに血液透析患者においては糖代謝・血糖管理の特殊性があるため,日本透析医学会の「血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012」が参照されている.血液透析患者において,HbA1c 値は腎性貧血やESA の影響により低下し,透析患者の血糖コントロール状態を正しく反映しないため参考程度に用いる.随時血糖値180~200 mg/dL 未満,グリコアルブミン(GA)値20.0 %未満,また,心血管イベントの既往歴を有する場合や低血糖傾向のある対象者にはGA 値24.0 %未満を血糖コントロールの暫定的目標値とする.腎機能が低下している場合,インスリンや経口血糖降下薬のクリアランス低下と腎での糖新生低下により,低血糖が生じやすい.低血糖のリスクを回避しつつ,生命予後の向上を目指して随時血糖値,GA 値などを総合的に判断しながら,血糖コントロールを行う.
Copyright © 2019, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.