投稿論文 紹介
華岡青洲の"麻沸散"を巡る"実説"と"虚説"
松木 明知
1
1弘前大学 大学院医学研究科麻酔科学教室
キーワード:
薬学史
,
麻沸散
,
華岡青洲
Keyword:
History of Pharmacy
pp.173-184
発行日 2022年2月10日
Published Date 2022/2/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2022108589
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華岡青洲の"麻沸散"を巡って"実説"と"虚説"が錯綜している。呉秀三は1920年に伝聞を収録したが、動物実験は言及されておらず、母於継と妻の加恵の実験参加についても明確にはされなかった。開発の初期段階で、青洲は散薬の"麻酔薬"を酒と服用させることのみに集中していた。これを考慮すると動物実験を行わなかったと思われる。長女小弁の誕生は"麻酔薬"の開発期間と重複している可能性があり、妊娠可能な女性を実験に参加させた可能性は少ない。信拠すべき史料を考慮すれば、"麻酔薬"を複数回服用して失明したのは於継であり、時代の経過とともに加恵が失明したことになったと考えられる。
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