投稿論文 紹介
華岡青洲の撰による「瘍科方筌」の研究 「瘍科瑣言」に準拠して成立したのか
松木 明知
1
1弘前大学 大学院医学研究科麻酔科学教室
キーワード:
医学書誌
,
薬剤処方
,
薬学史
,
江戸期医学史
,
華岡青洲
Keyword:
Bibliography of Medicine
,
History of Pharmacy
,
Drug Prescriptions
pp.767-780
発行日 2021年7月10日
Published Date 2021/7/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021264972
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華岡青洲撰の「瘍科方筌」は「瘍科瑣言」中の処方をまとめた著述とされる。しかし、両書の初期の写本に収載されている処方数に顕著な差があることから、おのおの独立して成立した可能性があり、「瘍科方筌」は遅くとも1808年には成立していた。1826年に春林軒に入門した安田孝平は1832-33年ころに「瘍科方筌」を増補した。1850年ころに書写された二十一種本「瘍科方筌」は359方の処方を収載する。書写年が明らかな「瘍科方筌」と「瘍科瑣言」を比較することによって華岡流外科の薬物治療の変遷を解明できると考えられ、このためにも1834年以前に書写された「瘍科方筌」の発掘が急務である。
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