投稿論文 症例
背部原発の上皮筋上皮癌の1例
篠崎 智公
1
,
柏木 慎也
,
岩川 さおり
,
宇賀神 叶美
,
和唐 純平
,
武田 啓
,
三枝 信
1北里大学 医学部形成外科・美容外科学
キーワード:
Keratins
,
MRI
,
X線CT
,
背部
,
免疫組織化学
,
上皮筋上皮癌
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Keratins
,
Immunohistochemistry
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Back
pp.987-993
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021348907
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症例は65歳女性で、20年ほど前に背部に腫瘤性病変を自覚したが放置していた。くも膜下出血での意識障害で当院に救急搬送され、その際に背部の腫瘤性病変を指摘された。皮膚科で生検されたが診断が確定せず、診断治療目的に当科受診となった。画像検査と併せ、鑑別疾患として隆起性皮膚線維肉腫や脂肪肉腫、血腫等が可能性として考えられ、全切除生検の方針とした。全身麻酔下に側方は腫瘍辺縁で、底部は広背筋筋膜を含めて切除を行った。腫瘍切除部には人工真皮を貼付し、手術終了とした。病理組織学的に、腫瘍の大部分が壊死性の好酸性無構造の物質よりなっており、島状に散見される上皮成分(導管上皮細胞)は、腺腔~偽腺腔を形成し、淡明な細胞質との二層性が確認された。印環細胞様の接着のない細胞や、好酸性細胞質を有する横紋筋様の細胞も確認された。AE1/AE3やVimentin、α-SMAなどで腺管の二層性構造を有することから上皮筋上皮癌の診断となり、MIB-1が20%前後であるため、境界悪性であると診断した。また、頭頸部に唾液腺腫瘍を認めないため、転移性腫瘍は否定的であった。断端陰性であるが、境界悪性の腫瘍であった。切除範囲の詳細な取り決めはないが、肉腫の診断に従って切除断端3cmの周囲正常皮膚を含めて追加切除を行い、部位に両側臀部から採取した分層皮片を移植した。術後2年で局所の再発・遠隔転移および拘縮は認めていない。
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