投稿論文 原著
GID・FTMに対する乳房切除術と乳頭縮小術の一期的手術についての検討
櫻井 透
1
,
渡邊 敏之
,
木股 敬裕
,
難波 祐三郎
1岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科形成再建外科
キーワード:
壊死
,
血腫
,
術後合併症
,
性別違和
,
乳房形成術
,
乳房切除術
,
失血-外科
,
後向き研究
,
手術時間
Keyword:
Gender Dysphoria
,
Retrospective Studies
,
Mastectomy
,
Blood Loss, Surgical
,
Mammaplasty
,
Necrosis
,
Postoperative Complications
,
Hematoma
,
Operative Time
pp.310-316
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021174071
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性同一性障害(GID)のfemale-to-male(FTM)に対し、乳輪下半周切開法による乳房切除術と乳頭縮小術を一期的に行った94例188乳房を対象に、手術記録とカルテを用いて、術後経過を調査した。また、術後1ヵ月の記録写真を用いて術後の乳頭の状態を評価した。その結果、術後に乳頭壊死を認めた症例はなかった。乳頭の表皮壊死を3例3乳頭(1.6%)、乳頭の埋没を2例2乳頭(1.1%)に認め、表皮壊死は保存的治療で治癒した。乳頭の埋没で追加治療の希望はなく、経過観察となった。後に余剰皮膚切除などの修復術を追加した症例は6例12乳房であった。術後に血腫が原因で緊急手術となったのは6例6乳房で、いずれも乳頭の合併症(乳頭表皮壊死、乳頭埋没)は認めなかった。合併症の発症率と、年齢、ホルモン治療歴、喫煙歴、BMIの関連は、合併症例が少なく、統計学的に指摘できなかった。GID・FTMに対する乳房切除術と乳頭縮小術の一期的手術は有用と考えられた。
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