投稿論文 症例
指神経に生じた腫瘤からサルコイドーシスの確定診断に至った1例
坂田 康裕
1
,
下江 隆司
,
神埜 聖治
,
山田 宏
,
藤本 正数
,
割栢 健史
,
朝村 真一
1和歌山県立医科大学 形成外科
キーワード:
胸部X線診断
,
MRI
,
腫瘤
,
超音波診断
,
胸部CT
,
サルコイドーシス-神経
,
指神経(手)
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography, Thoracic
,
Ultrasonography
,
Neurosarcoidosis
pp.976-980
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021348905
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は52歳女性で、1ヵ月前より右母指に皮下腫瘤を自覚し、腫瘤部の圧痛と末梢側への放散痛を伴った。MRI検査所見では、T2強調横断像にて、右母指尺側指神経が直径3mmに腫大していた。切除生検を行ったところ、摘出した組織にはHE染色で神経組織の一部に肉芽腫の形成が観察され、またFite染色およびD-PAS染色で抗酸菌像、真菌像は認められなかった。以上の所見からサルコイドーシスを疑い、全身検索を行った。血液検査では、血清可溶性IL-2受容体が1072U/mLと上昇していた以外は有意な所見はなかった。胸部画像検査では、縦隔・肺門部に多数のリンパ節腫大を認め、呼吸器内科による気管支肺胞洗浄検査ではリンパ球とCD4/CD8比の上昇、気管支肺生検では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が観察された。呼吸器内科にてサルコイドーシスと確定診断され、肺門部にリンパ節腫脹を認めるも、ステロイド治療は必要なく、経過観察の方針となった。切除生検後、右母指指腹部尺側に認めた軽度のしびれは3ヵ月で自然軽快し、確定診断から1年が経過したが、他臓器に病変の出現や悪化はなく病勢は安定している。
Copyright© 2021 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.