特集 卵巣がん手術―R0を目指して
各論
1.R0を目指した卵巣がん手術における血管損傷
宮本 雄一郎
1
Y. Miyamoto
1
1埼玉県立がんセンター婦人科(科長兼診療部長)
pp.329-336
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003786
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卵巣がん手術では腫瘍切除やリンパ節摘出の際に血管近傍の操作を伴うため,一定の確率で血管損傷が生じる。血管損傷はある程度意図したうえで生じることもあれば,解剖学的破格,術者の技術・知識・注意不足,あるいはデバイスの特性などにより不意に発生することもある。特に大血管や骨盤内の近位の血管損傷は,発生時に迅速かつ適切に対処しないと生命の危機をもたらす合併症となりうる。術者が十分な技術の向上・解剖学的知識を会得してからの手術実施をするのは当然であるが,術前から画像検査での解剖学的な把握や破格の確認をすることで発生リスクを抑えることにつながる。発生時に備えて適切なリカバリーの方法・手順を身につけておくこと,必要診療科と緊密な連携をもっておくことが,大きな事故を防ぐために必要である。近年,低侵襲手術(MIS)でのリンパ節摘出が行われることも増えてきているが,MISでの出血は止血操作の遅延が生じうるため,チームでの十分なシミュレーションを積んでおくことが求められる。今後は血管損傷についても効率的な合併症管理・トレーニング体制の構築が望ましい。

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