特集 産婦人科の未来予想図―これから必要な技術,資格について
各論
4.産婦人科がん治療の未来―薬物療法を中心に―
滝 真奈
1
,
万代 昌紀
1
M. Taki
1
,
M. Mandai
1
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
pp.883-888
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003511
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産婦人科がん治療は,分子標的治療薬と免疫チェックポイント阻害薬の登場により劇的に進歩している。PARP阻害薬は卵巣癌でBRCA変異や相同組換え修復欠損(HRD)陽性患者に顕著な効果を示し,レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法は子宮体癌の二次治療で保険適用になった。チソツマブ ベドチンなどの抗体薬物複合体も子宮頸癌で承認され,新たな治療選択肢となっている。免疫療法では,dMMR子宮体癌でペムブロリズマブが一次治療から標準となり,子宮頸癌でも同時化学放射線療法との併用で全生存期間が大幅に改善した。包括的がんゲノムプロファイリング検査の保険適用により個別化医療が推進されているが,実際の治療到達率は9.4%にとどまる。今後は高度な専門知識をもつ医療従事者の育成,多職種連携,人工知能(AI)技術の臨床応用により,より多くの患者が最新治療の恩恵を受けられる体制構築が必要である。

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