FOCUS 〔シリーズ〕産婦人科と「働き方改革」【第1回】
産婦人科の,私たちの未来がかかる「働き方改革」
鈴木 幸雄
1,2
1コロンビア大学メディカルセンター産婦人科婦人科腫瘍部門
2横浜市立大学産婦人科学教室
pp.696-701
発行日 2022年7月10日
Published Date 2022/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210745
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シリーズ開始にあたってまず知ってほしいこと
医師の働き方改革のとらえ方にはいくつもの誤解があります.「地域医療が崩壊する」「医師の仕事が楽になる」「研究が衰退する」など,よく聞かれるあらすじです.逆に今のままのシステムを続けるのであれば,こうした懸念は現実となると考えています.この改革の目的は労働時間の縮減ではありません.社会が大きく変化し,医師個人のニーズが変わっているなか,われわれ自身が大きく変わっていかなければ産婦人科にも私たちにも未来はないと危機感をもっています.法令の整備は一通り終わり,ルールを遵守することはスタートラインに立つことに過ぎません.労働時間の見せ方の調整をしていくのではなく,次に取り組むべきことに目を向けなければなりません.医療機関ごとや地域全体における診療の効率化,医師から助産師や看護師,さらに他のコメディカルへの業務移管に本腰をいれて臨んでいく段階をすでに迎えています.少しずつそうした取り組みがみえてきています.本シリーズでは,これらの取り組みを紹介していきます.
働き方改革を土台に,単位時間当たりの診療密度を高め,産婦人科診療の生産性を上げていくことが目指すべきところであり,そのためには人的,物的資源の再編が必要になります.本稿,本シリーズを読んでいただき,こうした本質的な改革の方向性を見つめていただければ幸いです.
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