今日の話題
減胎手術に関する倫理的課題の解決へ向けて―当院における減胎手術の実例を踏まえた,臨床研究の必要性とその展望―
涌井 菜央
1
,
遠藤 誠之
2
,
三宅 達也
1
,
味村 和哉
3
,
管生 聖子
4
,
木村 正
5
N. Wakui
1
,
M. Endo
2
,
T. Miyake
1
,
K. Mimura
3
,
S. Sugao
4
,
T. Kimura
5
1大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学講座
2同 保健学専攻
3大阪大学医学部附属病院遺伝子診療部
4大阪大学大学院人間科学研究科人間科学専攻
5地方独立行政法人堺市立病院機構
pp.73-81
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003277
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多胎妊娠,特に3胎以上は母児に関する様々な合併症のハイリスク因子である。減胎手術は厚生科学審議会でも議論がなされ,一部の医療現場で実施されていることは公知である一方で,議論そのものがタブー視され,わが国における手技や予後の評価はほとんどなされていない。こうした状況のなかで医学的に減胎手術が必要な女性やその家族は,罪悪感や社会的孤立を感じながら短期間に意思決定を迫られ,適切な支援体制を得られずにいる。当院ではこのような現状に鑑み,減胎手術の安全性および患者の心理的負担を評価することを目的とした臨床研究を開始した。本研究の終了後には,適切な支援体制の構築や手術の適応,実施時期などについて議論すべく,多施設共同研究体制の構築を図りたいと考えている。
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