講座
胎性予知
坂倉 啓夫
pp.13-17
発行日 1956年10月1日
Published Date 1956/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201134
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
人間に於て,性別の不明なことには2つの場合がある.その1つは半陰陽のような性器発育異常であり,他の1つは胎生期,特に早期の性別である.これ等については昔から迷信的な方法は沢山に伝えられているし,産科史上にも諸説が現れ伝えられているがそれ等は非科学的であつて確かなものではない.その後近代医学の発達に伴い,血中,尿中の諸物質特に性ホルモンの測定により性の決定を行わんとしたが,これ又,何れも不成功に終つている.しかし最近,性染色質という特殊な染色質塊が細胞核中に認められ,その出現率により性別を判定することが出来るようになつた.胎児の性別は羊水中の浮遊細胞核,性器発育異常では口腔または腟粘膜の擦過塗抹細胞核の性染色質の分布により性別判定を行つて殆んど100%に的中している.しかし性器発育異常は本文では除外し,何れ機会があつたら書くことにして胎性予知のみを書くことにする.
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.