今月の臨床 不妊診療─現在の課題と将来展望
減胎手術の必要性と問題点
宮崎 豊彦
1
1赤坂見附宮崎産婦人科
pp.1492-1495
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101625
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はじめに
多胎妊娠は不妊治療の副作用と考えられ,苛原1)の調査においても3胎以上の多胎妊娠の発生原因は体外受精・顕微授精によるものが66%,排卵誘発によるものが31%,さらに4胎以上の多胎妊娠の発生原因の100%が不妊治療であると報告されている.また,胎児数が増加するにつれ周産期の問題点が増加することはよく知られている2).多胎妊娠が発生した場合,患者はすべてのリスクを受け入れそのまま妊娠を継続するか,妊娠の継続を諦め中絶手術を行うか,あるいは周産期のさまざまなリスクを減らして妊娠を継続するために減胎(減数)手術を行うか,という選択を迫られる.
医学的には減胎手術は早産にかかわるリスクを減らすことが明らかになっており3),意味のある治療法であると考えられるが,一方で,後述する倫理的問題点があり,実施に当たっては論議のあるところである.本稿では,本手術の実際とその問題点につき概説する.
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