特集 フローチャートでわかる 婦人科外来診療パーフェクトブック
Ⅳ 生殖・内分泌
39.早発卵巣不全
河村 和弘
1
K. Kawamura
1
1順天堂大学大学院医学研究科産婦人科(教授)
pp.1354-1360
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003175
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早発卵巣不全(premature ovarian insufficiency;POI)は40歳未満で閉経に至り,不妊や更年期症状を呈する疾患である。血中卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone;FSH)および黄体形成ホルモン(luteinizing hormone;LH)濃度は高値となり,血中エストロゲン濃度は低値または測定感度以下となる。国際的な診断基準はまだないが,一般的には4カ月以上の無月経,2回以上の測定でFSH 10 mIU/ml以上としている場合が多い。POIは全女性の100人に1人に自然発生し,まれな疾患ではない1)。原因としては,染色体・遺伝子異常,自己免疫異常,医原性などが知られているが,原因不明のものも多い(図1)2)3)。染色体・遺伝子異常としては,ターナー症候群や脆弱X症候群のキャリアが知られており,医原性としては,生殖毒性を示す抗がん薬や放射線療法,卵巣手術などが挙げられる4)。約50%は原因が不明であるが,遺伝子改変マウスの知見や患者の詳細な遺伝子解析に基づく症例報告から,その多くが遺伝子レベルでの異常が原因となっていると推測されている。
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