今月の臨床 GnRH療法の新展開
GnRHアゴニストによる治療—適応基準と問題点
2.早発卵巣不全
高倉 賢二
1
1滋賀医科大学産科婦人科
pp.174-177
発行日 1999年2月10日
Published Date 1999/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903535
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早発卵巣不全(premature ovarian failure:POF)は,一般的には40歳未満で高ゴナドトロピン(Gn)・低エストロゲン血性の続発無月経をきたす症候群であり1),最も重篤な排卵障害による卵巣性無月経といえる.その病因は染色体異常などの細胞遺伝学的要因,放射線・薬剤などの環境要因,代謝異常,免疫異常など多岐にわたっているものと思われるが2),未解明な点が多い.理論的には,①出生時より卵胞数の少ないもの,②卵胞数の減少の急速なもの,③卵胞数は正常のものに分けられ,①の原因として染色体異常などの細胞遺伝学的要因,②の原因として放射線・薬剤などの環境要因,代謝異常,免疫異常など,③の原因としてGnレセプター異常,Gnの構造異常,Gn標的細胞の異常などが想定されよう3).実地臨床上は,①特発性POF(既往に卵巣に対する手術,放射線治療,抗癌化学療法を受けていないもの),②手術・化学療法関連POF(両側卵巣に摘出以外の手術操作あるいは抗癌化学療法を受けたもの),③手術・放射線POF(手術や放射線により去勢されたもの)と分類することが可能である4).
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