- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
子宮筋腫に対する術前にGnRH agonistは広く用いられており,術前の疼痛症状や貧血を改善するだけでなく,創部の縮小や低侵襲化が図られてきた。また,子宮筋腫核出術に関しては,術中出血量を減らす効果もあることが報告されている。一方,新規経口GnRH antagonistであるrelugolixを子宮筋腫に対する術前に使用した報告はまだ少ない。そのためわれわれは,子宮筋腫に対する手術の術前にrelugolixもしくはGnRH agonistを使用し,その手術アウトカムを後方視的に比較した。また,その子宮筋腫の縮小効果について,MRIにて評価した。relugolix群とGnRH agonist群を各術式間で比較したが,手術時間,出血量に有意差はみられなかった。薬物療法前後の2回のMRIを比較し,治療後/治療前の子宮および最大子宮筋腫の体積比を比較したところ,relugolix群とGnRH agonist群では有意差はみられなかったが,治療薬の投与開始日から2回目のMRI撮影までの期間が50日以内といった短い症例で,有意差はないものの,GnRH agonist群(0.84±0.16)よりもrelugolix群(0.69±0.18)で,より縮小効果が高い傾向にあると考えられた。投与開始後の不正子宮出血の頻度は,GnRH agonist使用群は37.4%,religieux使用群は19.7%で有意差はみられなかった。ただ,粘膜下筋腫がない場合の不正子宮出血の頻度は,有意差をもってrelugolixが少なかった(p<0.05)。このようにrelugolixを使用した場合,早期に縮小する可能性があり,粘膜下筋腫がない場合には不正子宮出血の副作用も少ないものと考えられた。
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.