臨床経験
加齢に伴う卵子紡錘体の位置変化と受精および胚発生との関連
小岩 佳夏子
1
,
尾上 洋樹
1
,
佐藤 千絵
1
,
馬場 長
1
K. Koiwa
1
,
H. Onoue
1
,
C. Sato
1
,
T. Baba
1
1岩手医科大学医学部産婦人科学講座
pp.499-505
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002956
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顕微授精(ICSI)による児が誕生してから約30年が経過し,現在の生殖補助医療(ART)において,ICSIは治療の主軸となっている。ICSIでは卵子紡錘体の損傷を防止するために,第一極体を目印として精子の注入を行うが,実際には紡錘体の位置が第一極体とは近接せずに離れている卵子が確認されている。今回,紡錘体の位置に差異が生じる原因の1つとして,母体の加齢が関連しているか,後方視的に検討を行った結果,40歳以上の卵子では有意に第一極体と紡錘体の位置に差異が生じた。40歳以上の高齢患者に対してICSIを実施する際には,第一極体と紡錘体が近接していない可能性を考慮し,紡錘体観察を行う必要性がある。
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