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障がいがある女性と産婦人科医療―配慮を必要とする女性をどうサポートするか? 第1回 性と妊娠への考え方
橋本 洋之
1
H. Hashimoto
1
1はしもとクリニック(院長)
pp.385-389
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002926
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「産婦人科」は,あらゆる支援を必要とする障がいがある女性にとっては,受診のハードルが高い診療科であるが,性生活について相談を受けたり,妊娠の継続の有無について判断を迫られることがある。本人が自分の意志をしっかりと伝えられないことも多く,家族,介護者,行政の担当者から,障がいがある女性の性生活や妊娠,子育ては難しいという意見が出る一方で,障がい当事者の意見を確認したうえで,障がいに伴う困難を乗り越えてサポートしようという意見も出される。
障がいがある女性の性や妊娠,子育てについての様々な考え方は,3つの観点から整理することができる。1つめは,障がいがあるために子ども,親ともにお互いに離れられないという親子関係,2つめは,障がいがある人に子育ては無理(生産性がない)なので子どもを産んではいけない(再生産への恐怖)という優生思想,そして3つめは,女性,障がい者としての平等と意思決定の尊重というセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR),障害者権利条約の考えである。
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