連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・117
障がいと人々の生命観
冨田 江里子
1
1バルナバクリニック(フィリピン)
pp.278-279
発行日 2014年3月25日
Published Date 2014/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102755
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口唇口蓋裂が大きく開いている赤ちゃん,ベッツがクリニックで生まれた。生後2か月近くになるが,未だに必要量のミルクを飲んだ経験がない。顎を動かし疲れて眠り,またすぐ空腹で目を覚ますことをくり返すベッツ。そのたびに母親はベッツを抱き上げ,飲めない哺乳瓶でミルクを与えている。出生時の体重は3000g,今は2500gをやっと維持する程度だ。日本なら生命維持のために胃管を入れ,哺乳量を確保するだろう。胃管という単純な医療行為すら受け入れられない両親とベッツの命を助けたい思いが交錯し,私は戸惑っている。
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