臨床経験
低刺激周期を基本方針とするART施設の臨床成績
-―2020年全国統計との比較からみえた当院のCOVID-19への対応と影響―
福田 淳一郎
1
J. Fukuda
1
1加藤レディスクリニック
pp.1171-1177
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002738
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ARTにおいて低刺激周期採卵・全例単一胚移植を基本方針とする当院は,日本産科婦人科学会ARTデータブック1)の全国統計の成績と比較,検討して基本方針の客観的評価を行っている。年齢別の総治療周期あたりの生産率は全国成績よりも毎年高い結果であったが,COVID-19流行下の2020年は日本生殖医学会からの不妊治療の延期推奨の声明2)が出され,胚移植周期数が減少したことで生産総数も減り,全国成績と比較して生産率の優位性を示した年齢層が例年よりも少なかった。
未曽有の事態とはいえ,諸学会から短期間のうちに出される主旨の異なる声明は患者や医療従事者を混乱させた。当院は学会声明に従い慎重な姿勢で臨んだが,学会の延期推奨声明にもかかわらず,通常どおりの不妊治療を継続する方針を示した施設もみられ,対応は施設によって異なった。生殖医療に携わる医師達の意識の差も浮き彫りとなった2020年であった。
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