今月の臨床 エキスパートに学ぶ―体外受精実践講座
採卵周期における各種卵巣刺激法
福田 淳
1
,
田中 俊誠
1
1秋田大学医学部生殖発達医学講座産婦人科学分野
pp.915-921
発行日 2008年7月10日
Published Date 2008/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101807
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はじめに
生殖補助医療(assisted reproductive techonology : ART),とりわけ体外受精(in vitro fertilization : IVF)においては,いかに良好な成熟卵子を得るかが成功の可否を握る重要な鍵である.当初,体外受精は自然周期で行われていたが,複数の胚を移植したほうが妊娠率が向上することから,クロミフェンあるいはゴナドトロピン製剤を用いた刺激周期が用いられるようになった.しかし,この方法では内因性のLHの上昇を抑制できず,採卵前の排卵や,早期黄体化による卵の質の低下が問題となった.この問題に関し,Porter ら1)はGnRHアゴニストを用いて内因性LHを抑制することにより,良好胚を得られることを報告した.この方法によりキャンセル率を低下させ,採卵日の調節性を著しく向上させることが可能となった.以降,本邦においてもGnRHアゴニストとHMGによる調節卵巣刺激(controlled ovarian stimulation : COS)が主流となり,最近までゴールデンスタンダードとして用いられている.
しかし,近年,クロミフェンによる低刺激法の見直しや,GnRHアンタゴニスト,recombinant FSH(rFSH)の開発などを機にCOSの種類も多様化し,混沌としてきているのが現状である.本稿では,現時点で比較的多く選択されていると思われるCOSについて概説する.
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