臨床経験
術前診断ⅠA期,類内膜癌G1/G2の子宮体がんにおける骨盤リンパ節郭清の意義についての検討
山田 靖
1
,
宮本 強
1
,
竹内 穂高
1
,
井田 耕一
1
,
小原 久典
1
,
塩沢 丹里
1
Y. Yamada
1
,
T. Miyamoto
1
,
H. Takeuchi
1
,
K. Ida
1
,
H. Ohara
1
,
T. Shiozawa
1
1信州大学医学部産科婦人科学教室
pp.955-960
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002679
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子宮体がんでの後腹膜リンパ節郭清は正確なStagingの意義を有するが,郭清の省略対象や,有効な郭清範囲についての見解は定まっていない。そこで当科で2012年以降に治療した,術前診断IA期,類内膜癌G1/G2の子宮体がんのうち,筋層浸潤ありもしくは腫瘍径2cm以上の症例に対し,郭清なしの41例(A群)と骨盤リンパ節(PEN)のみ郭清ありの34例(B群)を後方視的に比較し,PEN郭清の意義を検討した。B群の3例(8.8%)にPEN転移を認めたが,同3例は他の再発リスク因子も伴い,術後補助化学療法の施行により再発を認めていない。A群の3例(7.3%)に再発を認めたが,リンパ節再発はなく,手術療法や化学療法により死亡例は認めていない。本研究対象へのPEN郭清は,PEN転移例の抽出に有用であったが,予後改善や術後補助療法対象例選出という点での意義は限定的と考えられた。
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