臨床経験
胚培養後の培養上清中に含まれる遊離DNAを用いた非侵襲的着床前胚染色体異数性検査(niPGT-A)の判定基準と培養日数についての検討
小林 あやね
1
,
倉橋 浩樹
2
,
宇津宮 隆史
1
A. Kobayashi
1
,
H. Kurahashi
2
,
T. Utsunomiya
1
1セント・ルカ産婦人科
2藤田医科大学・医科学研究センター・分子遺伝学研究部門
pp.947-954
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002678
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現在,体外受精・胚移植において実施されている着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)は,胚から採取した一部の栄養外胚葉(TE)を用いて異数性の診断を行っている。しかし,胚への侵襲がその後の発生に影響を与える可能性や,胚の染色体モザイクによる誤診断の可能性が懸念される。近年,注目されている胚培養後の培養液上清中に含まれる遊離DNAを用いた非侵襲的着床前遺伝子検査(niPGT-A)について,判定基準と培養日数を検討した。
モザイク率のカットオフ値を,通常のTE生検によるPGT-Aと同じ20%に設定した場合,TE生検と培養上清の染色体一致率は性染色体と常染色体の双方で低い値を示した。そこで,6カ所以上の数的異常や構造異常が認められたサンプルをデータから削除し,モザイク率のカットオフ値を40%に設定することでTE生検と培養上清の染色体一致率は改善され,さらに採卵後6日目まで培養することでより高い染色体一致率が得られた。今後,niPGT-Aにおいてより安全で,より信頼できる方法の確立が求められると考えられる。
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