臨床経験
胎児蘇生法としての人工羊水注入療法を再考する
-―人工羊水注入療法の有用性と新たな可能性について―
森 将
1
,
岸上 靖幸
1
,
加藤 幹也
1
,
村井 健
1
,
小鳥 遊明
1
,
稲村 達生
1
,
柴田 崇宏
1
,
竹田 健彦
1
,
田野 翔
1
,
鵜飼 真由
1
,
柴田 莉奈
1
,
原田 統子
1
,
小口 秀紀
1
S. Mori
1
,
Y. Kishigami
1
,
M. Kato
1
,
T. Murai
1
,
A. Takanashi
1
,
T. Inamura
1
,
T. Shibata
1
,
T. Takeda
1
,
S. Tano
1
,
M. Ukai
1
,
R. Shibata
1
,
T. Harata
1
,
H. Oguchi
1
1トヨタ記念病院 周産期母子医療センター産科
pp.939-946
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002677
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分娩中の人工羊水注入療法は,わが国では他の胎児蘇生法ほど一般的ではない。当院において分娩進行中に胎児機能不全となった症例に関して,人工羊水注入療法を施行していなかった2007~2008年では帝王切開率が47%(17/36例)であったのに対し,人工羊水注入療法を施行している2009~2022年では人工羊水注入療法実施率が27%(167/614例)で,帝王切開率が25%(155/614例)と有意に減少した(p<0.01)。一方,NICU入院率に有意差は認めず,人工羊水注入療法により新生児予後に影響を与えることなく帝王切開を回避できた。また,人工羊水注入療法は混濁した羊水の希釈による児の呼吸障害の低減,微弱陣痛における陣痛増強にも有用な可能性がある。人工羊水注入療法の有効性,適応,合併症の評価のためには,今後さらなる症例の蓄積が必要である。
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