連載 OBSTETRIC NEWS
経腹的人工羊水注入法
武久 徹
1
1武久産婦人科医院
pp.538-540
発行日 1997年5月10日
Published Date 1997/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409905037
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分娩中のnon-reassuring(心配な) fetal heartrate(FHR)(胎児心拍数)パターンによる帝王切開(帝切)の大きな原因である羊水過少症に対し,non-reassuring FHRパターンを回避する方法として経頸管人工羊水注入法(TCAI)が多くの施設で採用されている.しかし,TCAIは子宮頸管が少なくとも1cmは開大していないと,子宮内圧測定用カテーテル挿入ができず,施行できない.
そのような症例に対し,最近,経腹的人工羊水注入法(TAAI)が報告された.この研究は、ジョージタウン大学のVerganiらが行ったものである.1991年6月〜1994年9月に陣痛発来前の単胎,頭位,妊娠37週以降,児推定体重2,500g以上,反応型NST, Bishop scoreが6点以下,未破水で超音波診断で羊水過少症と診断された症例(羊水最大ポケットが2×2(cm)未満)を研究対象とした.羊水スペース内の臍帯はカラードップラーを使用して,測定から除外した.羊水量測定は妊娠40週以前では臨床的適応があった場合,妊娠40週以降はルーチンに行った.研究対象となった症例は無作為に2群に分けられた.TAAI群(注入群)は超音波ガイド下に20 Gのスパイラル針を極力胎盤を穿刺しないように羊水ポケット内へ刺し,点滴用の延長チューブと三方活栓を用いて,経腹的に室温の生理食塩水500 mlを注入した.
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