特集 子宮収縮抑制薬の長期投与はやめられるのか?―切迫早産管理のエビデンスと実践―
14.オキシトシン受容体拮抗薬のエビデンス
室月 淳
1
J. Murotsuki
1
1宮城県立こども病院産科,東北大学大学院医学系研究科先進成育医学講座胎児医学分野
pp.761-765
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002208
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オキシトシン受容体拮抗薬には従来からヨーロッパで使われているペプチド型のアトシバンと,新しく開発されたノンペプチド型のレトシバンがある。アトシバンの有効性はβ刺激薬やカルシウム(Ca)ブロッカーと有意な差がなく,48時間までの妊娠延長効果を認めるのみであるが,副作用が圧倒的に少ないことが特徴である。レトシバンはオキシトシン受容体の選択性が高く,第Ⅱ相試験では8日間の妊娠延長効果と出生児の予後改善が示唆され,切迫早産管理を根底からかえる可能性があった。第Ⅲ相試験は残念なことにメーカー側の事情により途中で打ち切られたが,このグローバル治験の経験によって切迫早産に対するshort tocolysisに完全に移行することができた。
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