特集 子宮収縮抑制薬の長期投与はやめられるのか?―切迫早産管理のエビデンスと実践―
6.切迫早産における安静のエビデンス
川合 健太
1
,
伊東 宏晃
2
K. Kawai
1
,
H. Ito
2
1浜松医科大学産婦人科地域医療学講座
2浜松医科大学産婦人科
pp.713-717
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002200
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切迫早産における安静の指示は,早産のリスクを減らすためにこれまで行われてきた最も一般的な方法の1つであるが,その有効性および安全性については問題点が指摘されている。切迫早産および早産の定義,安静の定義,および共介入の有無については地域および研究によって様々であり,統一されていない。各国のガイドラインでは,切迫早産に対しての安静が推奨されていないか,または,記載自体がみられていない。その根拠として,早産予防のための安静の有効性を支持または否定するエビデンスはない,という報告が現在までの結論である。妊娠中の安静によって,静脈血栓塞栓症のリスクが上昇する可能性が示されている。以上から,地域および施設の実情を踏まえつつ,静脈血栓塞栓症のリスクに注意しながら,個々の妊婦の状態に合わせて安静の指示について検討していくことが現状として考えられる。切迫早産における安静について高いエビデンスを確立するには,定義を明確化・統一し,妥当性の高い研究によって安静による有効性,副作用,およびコストを評価することが求められる。
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