増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅲ. 産科編
❷周産期救急疾患への初期対応
切迫早産/早産
米田 哲
1
1富山大学学術研究部医学系産科婦人科学教室
キーワード:
切迫早産
,
車中分娩
,
墜落産
,
常位胎盤早期剝離
Keyword:
切迫早産
,
車中分娩
,
墜落産
,
常位胎盤早期剝離
pp.219-222
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211230
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症例1
27歳,2妊1産(前回は,妊娠30週の自然早産であった).自然妊娠が成立後,近医(NICU併設のない市中病院)にて妊婦健診を受けていた.妊娠27週0日,児の推定体重は1,000g,胎盤・臍帯に異常を認めなかった.子宮頸管長は20mmと短縮傾向にあったが,自覚症状に乏しく,自宅安静を指示されていた.妊娠28週0日,就寝後,突然の腹痛を自覚し,少量の出血を認めたため,通院中の病院を受診した.当直の産婦人科医が診察したところ,子宮口はすでに3〜4cm開大しており,陣痛発来と判断した.子宮収縮抑制薬の点滴治療を指示しつつ,NICUのある3次施設へ連絡後,すぐに救急車を呼び,新生児用の聴診器とアンビューバックを携帯しつつ同乗し母体搬送した.搬送中に怒責感がさらに強くなり,破水したとの訴えがあった.診察すると,すでに発露状態であり,次の怒責で児頭より娩出となった.第一呼吸は認め,筋緊張はしっかりしていた.救急車内にあったバスタオルで新生児をくるみ,保温に努めた.自発呼吸を認め,心拍数は120〜130回/分であったが,次第に,多呼吸,陥没呼吸,全身チアノーゼを呈したため,アンビューバックにて呼吸を補助しつつ,搬送先に電話にて状況を説明した.
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