特集 子宮収縮抑制薬の長期投与はやめられるのか?―切迫早産管理のエビデンスと実践―
3.切迫早産におけるリトドリン塩酸塩と硫酸マグネシウムの有害事象
大槻 克文
1
K. Otsuki
1
1昭和大学江東豊洲病院周産期センター
pp.691-695
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002195
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早産発症の原因は様々であり,早産によって出生した低出生体重児の予後を改善するための究極の方策は早産の予防であることはいうまでもない。さて,「切迫早産」とは早産となる危険性が高いと考えられる状態,つまり早産の一歩手前の状態と定義し,子宮収縮が規則的かつ頻回に起こり,子宮口開大所見を認め,分娩に至ってしまう可能性がある状態とされている。そのような「切迫早産」に対して,早産の予防を目的として母体へ薬剤を用いて介入を行うことが,結果として児の予後に影響を与えることもある。また,母体合併症がコントロール不良となり,やむなく早産となってしまうこともありうる。一方で,子宮収縮抑制薬の使用自体が母児へ悪影響を与えることがあり,その使用については慎重であるべきである。ここでは,「切迫早産」への対応として用いられた薬剤の副作用の観点を中心に概説する。
なお,本稿における「切迫早産」はいわゆる子宮頸管の開大や短縮のみを認める「頸管無力症」と区別する。
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