薬の臨床
早産管理における塩酸リトドリン点滴静注法の有用性について
藤本 征一郎
1
,
岡田 雄一
1
,
一戸 喜兵衛
1
Seiichiro Fujimoto
1
1北海道大学医学部産婦人科教室
pp.129-135
発行日 1985年2月10日
Published Date 1985/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207131
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
切迫早産患者22例(前期破水1例,高位破水1例を含む)を対象に塩酸リトドリンの点滴静注を持続的に比較的長期間にわたり施行し,その有用性と安全性について検討した。その結果以下の成績を得ることができた。
① 妊娠期間の延長効果は平均38.5日であり,22例中20症例(90.9%)に14日間以上の延長効果がみられた。
② 分娩時平均妊娠週数は38.5週であり,正期産は19例(86.4%)であった。
③ 低出生体重児(2500g未満)は1例のみであった。また,アプガースコア(1分)はすべて8点以上であり,新生児に本剤によると思われる副作用は認められなかった。
④ 母体・胎児の循環系への影響は許容範囲であり,自覚的副作用を認めたものは2例(9.1%)であった。点滴直後の空腹時血糖の一過性の軽度の上昇が母体において観察された。
⑤ 分娩時,産褥時の母体所見には本剤によると思われる副作用は観察されなかった。
⑥ 本剤のかなり軽減以上の子宮収縮抑制効果は,20例(90.9%)に認められ,有用以上の有用性は19例(86.4%)に認められた。
⑦ 以上の結論より,本剤の切迫早産治療剤としての有用性は優れたものがあり,また安全性についても適切な使用法を遵守することにより問題がないものと思われた。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.