症例
夫婦ともにEhlers-Danlos症候群を有し常位胎盤早期剝離に至った1例
溝口 美佳
1
,
平山 純也
1
,
中田 久実子
1
,
南條 佐輝子
1
,
小林 彩
1
,
太田 菜美
1
,
八木 重孝
1
,
南 佐和子
1
,
井箟 一彦
1
M. Mizoguchi
1
,
J. Hirayama
1
,
K. Nakata
1
,
S. Nanjo
1
,
A. Kobayashi
1
,
N. Ota
1
,
S. Yagi
1
,
S. Minami
1
,
K. Ino
1
1和歌山県立医科大学産科婦人科学教室
pp.673-677
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002185
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Ehlers-Danlos症候群(EDS)は結合織の脆弱性をきたす常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性疾患である。前期破水や早産などの周産期合併症が生じるリスクが報告されている。今回われわれは,妻が古典型EDS,夫が血管型EDSの夫婦の妊娠から分娩までを経験したので報告する。症例は35歳初産婦。妊娠33週1日に子宮収縮が増強し,破水時に血性羊水と胎児機能不全を認め,常位胎盤早期剝離と診断し緊急帝王切開術を施行した。児は内反足と軟らかい皮膚より血管型EDSが疑われ,遺伝学的検査を行う予定である。今までに夫婦ともにEDSである妊娠の報告例はない。胎児が夫婦それぞれの病的アレルを引きつぐ可能性もあり,妊娠前からの遺伝カウンセリングは重要である。また母体にとっても周産期リスクは重大であり,ハイリスク妊娠として慎重な管理が望まれる。
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