特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【総論】
Ⅲ 抗悪性腫瘍薬使用時の副作用に対する対策
10.抗悪性腫瘍薬の卵巣毒性と卵巣機能温存のための方策
木村 文則
1
F. Kimura
1
1奈良県立医科大学産婦人科学講座
pp.1405-1412
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001953
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この数十年の間に,腫瘍学の進歩により,小児と若年成人患者の生存率は著しく向上した。しかし,これらの治療は患者の生殖機能に悪影響を及ぼす可能性がある。それを解決するために化学療法や放射線治療の性腺毒性から配偶子を保護する卵子や胚の凍結保存など妊孕性温存(fertility preservation;FP)技術が急速に発展してきた1)2)。抗悪性腫瘍薬使用時の卵巣機能への影響を知るとともに,現在できる対策をよく理解しておくことは重要である。本稿では,卵子形成と成熟卵子を得る生理的プロセスを概説し,抗悪性腫瘍薬による卵巣毒性が生じるメカニズム,現在行われている妊孕性温存の方法,さらに将来期待される治療方法について,婦人科腫瘍が専門の先生にもできるだけわかりやすく解説したい。
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