臨床研修セミナー 手術手技
III.卵巣・卵管手術
卵巣悪性腫瘍の手術
半藤 保
1
,
塩田 敦子
1
,
藤田 和之
1
,
佐々木 敏江
1
,
広川 雅晴
1
,
山崎 俊彦
1
,
黒瀬 高明
1
,
大野 正文
1
Tamotsu Hando
1
1香川医科大学母子科産科婦人科学
pp.576-585
発行日 1990年7月10日
Published Date 1990/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900126
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悪性卵巣腫瘍の手術は,診断,Staging,治療を兼ねるものである。開腹時の入念な病変の拡がりの観察所見と,術中迅速病理組織診断とから適切な術式を選択しなければならない。そのために卵巣がんの全治療体系を理解した上での術者の総合的な判断力と,経験に裏打ちされた正確な知識が求められる。手術はいわゆる婦人科手術のワクを越えることがあり,診断面,治療面の双方で他科との密接な協力関係を要することが少なくない。
治療のカナメは手術であり,腫瘍を完全に除去することが大切である。腫瘍をとり切れない時は,個々の腫瘍径で0.5〜1.0cm以下にできるだけ小さくして,術後の抗癌化学療法,あるいは限局例には放射線療法に期待するのがよい。従来わが国ではほとんど行われていなかったリンパ節郭清術により,骨盤リンパ節,傍大動脈リンパ節ともに少なからず転移が発見されることがわかった。
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