特集 最新知識の理解に役立つ 産婦人科医療の変遷と展望
周産期
2.切迫早産の管理と治療
中井 章人
1
A. Nakai
1
1日本医科大学産婦人科,日本医科大学多摩永山病院(院長)
pp.1021-1026
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001865
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わが国の早産予防は切迫早産への子宮収縮抑制治療に始まるが,主体的に用いられるリトドリン塩酸塩の妊娠期間延長効果に明確なエビデンスはなく,早産率の減少には寄与してこなかった。その後,頸管短縮や早産既往など医学的ハイリスクへの予防治療が注目され,黄体ホルモン療法が推奨されるが,頸管縫縮術やぺッサリーは限定的な効果にとどまっている。ω3系多価不飽和脂肪酸や葉酸をはじめとするマルチビタミンのサプリメントは自然早産の予防のみならず,治療早産が必要になる様々な産科合併症の発症を抑制するため,早産率のさらなる減少に寄与する可能性がある。母体へのステロイド投与は,児の予後を改善する。
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