特集 最新知識の理解に役立つ 産婦人科医療の変遷と展望
周産期
1.出生前遺伝学的検査
関沢 明彦
1
A. Sekizawa
1
1昭和大学医学部産婦人科学講座
pp.1013-1019
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001863
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出生前遺伝学的検査には確定的検査と非確定的スクリーニング検査があり,両者とも遺伝学的検査法の技術的な進歩に伴い,異常の検出精度は大きく向上している。また,確定的検査においては網羅的遺伝子解析法を利用する機会が増えたことで,原因となる遺伝学的な変化を同定できることも増えてきている。さらに,母体血漿中cfDNAを用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の登場で,非確定的スクリーニング検査での常染色体トリソミーの検出感度は大きく向上するとともに,その対象疾患の範囲も広がり,周産期医療に大きな影響を及ぼすものと思われる。このように科学技術が進歩してきている反面,わが国では産婦人科医にとって,出生前検査について議論しにくい社会状況が続いていた。しかし,最近発出された厚生科学審議会の報告書において,出生前検査の目的やその情報を妊婦にどのように提供するかについて明記されたことで,今後,出生前検査に関する議論が活性化するものと思われ,出生前検査に関連する周産期医療にとって,新たな進歩に向けた環境が整ってきたように思われる。
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