臨床経験
当院で経験した周産期心筋症5症例の検討
廣岡 千草
1
,
木村 博昭
1
,
安部 真希子
1
,
春成 淳平
1
,
糸井 瑞恵
1
,
羽生 裕二
1
,
河原井 麗正
1
,
平敷 好一郎
1
C. Hirooka
1
,
H. Kimura
1
,
M. Ambe
1
,
J. Harunari
1
,
M. Itoi
1
,
Y. Habu
1
,
Y. Kawarai
1
,
K. Hirashiki
1
1君津中央病院産婦人科
pp.537-545
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000855
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周産期心筋症(PPCM)は,心疾患の既往がなく,妊娠中から分娩後5カ月以内に心不全症状が出現する疾患とされる。過去9年間に当院で経験した周産期心筋症5症例に関して,背景や予後を検討した。5症例すべての発症時の症状は呼吸苦や息切れであった。3症例は経産であり,2症例は初産であった。2症例は正常経腟分娩,3症例は緊急帝王切開で分娩となった。早産治療は2症例,妊娠高血圧症候群(HDP)合併は2症例であった。1症例で治療後5カ月目の左室駆出率(EF)は29.5%と心機能の改善は不良であり,この症例では左室内血栓の形成を認めた。妊娠中から産褥期において呼吸苦や息切れが出現した場合,PPCMも鑑別疾患として精査を進める必要がある。血中BNP値の上昇や胸部X線で心不全を疑う所見を認めた場合,速やかに高次施設へ搬送し治療を開始することで,心機能改善が見込めると考えられる。
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