原著
当院における結核合併妊娠症例に関する検討
水主川 純
1
,
中西 美紗緒
1
,
桝谷 法生
1
,
定月 みゆき
1
,
五味淵 秀人
1
,
箕浦 茂樹
1
,
松下 竹次
2
,
小林 信之
3
1国立国際医療センター戸山病院産婦人科
2国立国際医療センター戸山病院小児科
3国立国際医療センター戸山病院呼吸器科
pp.901-905
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102396
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2008年の新規登録結核患者数は24,760人であり,生殖年齢の女性の結核は稀ではない.2007年1月から2008年12月の間に,40床の結核病棟を有する当院で分娩した結核合併妊娠4例について検討した.
母体年齢は29~33歳,肺結核2例,肺外結核2例であった.診断法は喀痰抗酸菌塗沫検査,胸部X線検査,頸部リンパ節生検であり,症状出現から診断までに長時間を要していた.全例,rifampicin,isoniazid,ethambutolによる内服治療を施行し,分娩前に喀痰抗酸菌培養検査陰性を2回以上確認できた2例は,産科一般病棟に入院し,分娩室で正常分娩した.確認できなかった2例は,結核または有料個室病棟に入院し,陰圧換気可能な手術室で帝王切開分娩した.出生児のうち3例は他院での感染隔離を要したが,先天性結核や新生児結核を認めなかった.
結核の早期診断,そして,産科,呼吸器科,小児科が連携した診療が重要であると考えられた.
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