特集 卵巣癌の手術up to date
14.遺伝性腫瘍に対するリスク低減卵管卵巣摘出術
-―RRSOの臨床試験やその適応,手技の実際と留意すべきポイント―
植木 有紗
1
,
平沢 晃
1
,
青木 大輔
1
A. Ueki
1
,
A. Hirasawa
1
,
D. Aoki
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.549-556
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000437
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遺伝性腫瘍における臨床目標の1つが,「病的バリアント保持者※(遺伝子変異保持者)に対するがん死低減」である。遺伝性腫瘍に対するリスク低減手術はわが国においても実施施設では着実に実地臨床に導入されている。本稿においては,リスク低減卵管卵巣摘出術の効果およびその対象となる遺伝性腫瘍の概要を中心に,実際の手術手技のポイントについて述べる。その実施にあたっては,オカルト癌の可能性を念頭に病理学的に詳細な検討を行うことや,遺伝診療部門との堅実な連携体制を構築し,十分な遺伝カウンセリングを行うなど,他診療科との体制整備が必要である。
※アメリカ臨床遺伝学会(ACMG)ガイドラインの表記に従い,最近では,「変異(mutation)」の代わりに「バリアント(variant)」が使われるようになってきている。もともと変異という言葉に否定的な響きがあり,また定義そのものがあいまいで混乱をきたすということを理由に,最近はこうした表現をやめ,代わりにバリアント(多様体)という言葉を使うことが推奨されており,本稿ではバリアントという表記に統一する。
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