特集 産婦人科医が身につけておくべき遺伝カウンセリング
11.リンチ症候群における遺伝カウンセリング
植木 有紗
1
,
阪埜 浩司
1
,
菅野 康吉
2,3
,
青木 大輔
1
A. Ueki
1
,
K. Banno
1
,
K. Sugano
2,3
,
D. Aoki
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
2慶應義塾大学病院臨床遺伝学センター
3栃木県立がんセンターゲノムセンターがん予防・遺伝カウンセリング科
pp.199-206
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000764
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リンチ症候群の婦人科関連腫瘍として子宮内膜癌と卵巣癌が知られている。リンチ症候群は遺伝性腫瘍のなかでも頻度が高く,一般診療のなかで産婦人科医が遭遇する可能性は少なくない。リンチ症候群の診断がついた場合,患者だけでなく家系員に対する将来的ながん発症リスクの正しい評価と予防医学的介入が可能となる。遺伝カウンセリングに際しては,適切な情報提供とともに関連検査の意義と限界を説明することが肝要である。今後は免疫チェックポイント阻害剤の導入に伴い,リンチ症候群を疑われる症例も増えてくると考えられ,各施設においても遺伝学的検査に対応可能な体制の整備,あるいは専門医療機関への紹介などが必要であろう。
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