特集 将来に備えて胎児環境を整える─ DOHaD を学ぼう─
DOHaDの臨床(胎児):妊娠中のストレスとDOHaD
久保田 健夫
1
1聖徳大学児童学部
pp.993-998
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000088
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
妊娠中の薬剤服用やウイルス感染が,生まれてすぐわかるような疾患を胎児に生じさせることは古くから知られてきた。一方妊娠中の生活習慣や環境暴露が成人期になって発症する糖尿病や冠疾患,高血圧などの生活習慣病の源を胎児に生じさせることが判明した。これがDOHaD(ドーハッド,成人病胎児期発症)である。しかしこれらは生まれてすぐわかる疾患でないゆえ産婦人科医や小児科医の診療対象となり,生活習慣病の診療に携わる内科医も胎児期からの病歴を聴取するわけではないので,現代医療の狭間の疾患(病態)となっていた。一方,わが国は欧米化の波に乗って生活習慣病大国の道を歩んでいることから,その一翼を担っているDOHaD の概念を多診療域で認識するときが来た。これを受け,政府系学術機関はその詳細調査に乗り出した。以上の背景の下,本稿では,妊婦環境が胎児の体内に疾患の源を形成させるメカニズムについての最新理解を紹介する。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.