特集 将来に備えて胎児環境を整える─ DOHaD を学ぼう─
DOHaDの臨床(胎児):腸内細菌叢とDOHaD
山城 雄一郎
1
1順天堂大学大学院プロバイオティクス研究講座
pp.999-1009
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000089
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Developmental origin of health and disease(DOHaD)の発現に影響する重要な因子である環境要因の1 つとして腸内細菌の役割が明らかになってきた。妊婦の腸内細菌は胎児の腸に移行するため,栄養と密接な関係を有する腸内細菌は妊婦の栄養状態とその腸内細菌の両面から胎児へ影響を与える。児は分娩時に多量かつ多様の菌を獲得して腸内細菌叢を確立する。腸内細菌構成は分娩様式,栄養法,抗菌薬の投与などにより大きく影響を受け,帝王切開分娩児(以下,帝切児)は産道からLactobacillus やBifidobacterium などの獲得機会を逸し,菌構成異常dysbiosis が持続するため,肥満,肥満関連疾患,免疫・アレルギー疾患の発症リスクが成長に伴い高くなる。帝切で出生する頻度の高い未熟児(低出生体重児)も同様のリスクを伴う。したがって,これら児に対する対応策を講じる事は喫緊の課題である。
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