特集 DOHaD
DOHaDとレプチン
佐川 典正
1
1洛和会音羽病院総合女性医学健康センター所長
pp.45-52
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.22.04_0045-0052
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
「Summary」疫学研究や動物実験から,胎児期~小児期の臓器機能発達期の環境が,成長後の各種疾患発症リスクを既定することが明らかにされ,developmental origins of health and disease(DOHaD)という概念が確立されてきた。脂肪細胞から大量に分泌されるレプチンはエネルギー代謝調節だけでなく生殖機能など多彩な生体機能を中枢や末梢の受容体を介して制御している。胎児期の栄養環境は中枢におけるレプチン感受性を変化させることにより,DOHaDの中心病態である肥満発症と密接に関連している。「はじめに」近年の疫学研究から,胎児期に低栄養に曝された児は成長後に肥満や糖代謝異常など各種成人病の発症リスクが高くなること(胎児プログラミング)が報告1)2)されている。また,オランダや中国の飢餓を対象とした疫学研究3)4)では,人種や時代,地域の差を問わず,妊娠中の極度の低栄養は出生児の精神神経系の発達にも影響し,成長後に統合失調症発症リスク因子となることも報告されている。「Key words」子宮内環境,胎児プログラミング,肥満,レプチン,発達期の可塑性
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.