特集 将来に備えて胎児環境を整える─ DOHaD を学ぼう─
DOHaDの基礎:DOHaDの分子機構
佐藤 憲子
1
1東京医科歯科大学難治疾患研究所分子疫学
pp.959-966
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000083
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発生発達期の好ましくない環境は,将来の様々な慢性疾患発症の誘導要因となってしまう。過去の一時期の環境刺激が長く影響を及ぼす疾患発症のメカニズムはまだ明らかではないが,エピジェネティック制御が関係しているだろうと考えられている。しかし環境変化によるエピジェネティックマークの変更と維持という既知の分子機構では,DOHaD 現象を十分に説明できない。近年蓄積されてきたデータによると,RNA による遺伝子発現の調節及び細胞間コミュニケーションも含めた多段階のエピジェネティック制御の関与や,環境要因が成長過程等の連鎖プロセス(trajectory)を変更する機構を想定するのが合理的だと考えられる。
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