特集 将来に備えて胎児環境を整える─ DOHaD を学ぼう─
DOHaDの臨床(新生児):母乳栄養とDOHaD
橋本 貢士
1
,
小川 佳宏
2
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科メタボ先制医療講座
2九州大学大学院医学研究院病態制御内科学分野(第三内科),東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子細胞代謝学分野
pp.1011-1017
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000090
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
マウス乳仔期肝臓の遺伝子のDNA メチル化解析から,脂肪酸β酸化関連遺伝子発現が核内受容体であるperoxisome proliferator-activated receptor(PPAR)α依存的なDNA 脱メチル化によって制御されていることが明らかとなった。これは授乳開始とともに,乳汁中の脂質成分がリガンドとなってPPARαを活性化するためと考えられる。すなわち母乳中の脂質は乳児の栄養成分であるとともに,脂肪の燃焼機能である脂肪酸β酸化を発達させる役割を持つことが示唆される。今後,PPARαを活性化する新しい人工乳の開発などによる乳児期の栄養介入が,将来の生活習慣病を予防する究極の「先制医療」となる可能性がある。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.