特集 DOHaD
巨大児とDOHaD
杉山 隆
1
1愛媛大学大学院医学系研究科産科婦人科学教授
pp.73-77
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.22.04_0073-0077
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「Summary」出生体重が軽くても重くても将来の2型糖尿病を含む非感染症疾患(non-communicable diseases;NCDs)の発症リスクが高まることが,最近の疫学研究によって明らかになってきた。すなわち,子宮内環境が胎児にとって低栄養でも過栄養でも出生前後の環境変化が児においてエピジェネティック制御が生じる結果,将来のNCDsと関連するのである。もちろん,子宮内環境のみならず出生後早期の環境も関与するが,今後,きめ細やかな疫学研究とさらなる基礎研究の発展が期待される。「はじめに」1993年,Barkerらは低出生体重が将来のメタボリックシンドローム発症と関連することを報告した1)。その後,低出生体重と将来の2型糖尿病発症に関して多くの報告がなされた2)-4)。そして,低出生体重と将来の2型糖尿病発症の関係が逆線形を呈することを示し(図1),出生体重が重いとそのリスクは低下すると主張した。しかし,一方では低出生体重のみならず出生体重が重い場合(高出生体重と略す)もその後の2型糖尿病発症と関連するいわゆるU字型現象が生じることも報告された(図2)5)6)。「Key words」DOHaD,巨大児,肥満,2型糖尿病,NCDs
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